「この子の気持ち、誰かに聞いてほしかった」――CompassMateが生まれた日のこと。〔0012〕

塾講師をしていたころの話をさせてください。
担当していたのは、高校2年生のある女の子。真面目で、授業中もいつも一生懸命ノートをとっていた。成績も悪くない。でも、ある日の授業後、片付けをしながらポツリとこう言った。
「先生、私って何のために勉強してるんですかね」
冗談っぽい口調だったけど、目が笑っていなかった。
「大丈夫?」と聞いたら、泣き出した
「どうしたの?」と声をかけると、最初は「なんでもないです」と笑って帰ろうとした。でも少し引き留めて、「ゆっくり話して」と伝えたら、少しずつ話してくれた。
志望校はある。でも、なぜそこに行きたいのか、自分でもわからない。親が「あそこがいい」と言うから、先生も「狙えるレベル」と言うから。でも、本当にそこでいいのか。そもそも自分は何がしたいのか。
「誰にも言えなくて。先生には言いにくいし、親には心配かけたくないし、友達はみんな同じように焦ってるし」
そう言って、ぽろぽろと涙をこぼした。
私はしばらく、ただ隣に座っていた。

「聞いてもらえた」だけで、変わることがある
その日、私は何か特別なアドバイスをしたわけじゃない。志望校を変えなさいとも、もっと頑張れとも言わなかった。ただ、彼女が感じていた迷いや不安を、なるべく言葉にしてもらいながら一緒に整理した。
1時間ほど話して、最後に彼女はこう言った。
「なんか、スッキリしました。頭の中がぐちゃぐちゃだったのが、少し整理された気がする」
帰り際の背中が、来たときよりも少し軽そうに見えた。
その光景が、ずっと頭から離れなかった。
保護者の方も、同じように「誰かに聞いてほしかった」
後日、その子のお母さんから連絡があった。
「先日、娘が塾から帰ってきたら顔が明るくて。何かあったんですか?と聞いたら、先生に話を聞いてもらったって。……私、娘が何に悩んでるか、ずっとわからなかったんです」
電話越しに、声が少し震えていた。
「子どもの進路が心配で、いろいろ言いたいことはあるんですけど、言うと反発されて。何が正解かもわからなくて。夫に相談しても『本人に任せれば』って言うだけで……私も、誰かに話を聞いてほしかったんだと思います」

私はそのとき、はっきりと気づいた。
悩んでいるのは、子どもだけじゃない。
「相談できる場所」が、もっと必要だ
学校の先生は忙しい。塾は勉強を教える場所。親は近すぎて、逆に話せないこともある。
でも、「ちょっと先を歩いてきた人が、ただ話を聞いてくれる場所」があったら。親の視点から、子どもに伝えたいことを一緒に整理してくれる人がいたら。
その子とお母さんとの出来事が、CompassMateを作るきっかけになった。
4月2日、CompassMateがはじまります。
あれから時間をかけて、現役大学生や経験豊富な講師・ナビゲーターと一緒に、進路相談室 CompassMateを4月2日にスタートします。
対象は、進路に悩む高校生と、その保護者の方。
子どもの進路が心配だけど、どう声をかけていいかわからない。子どもが何を考えているのか、わからなくなってきた。そんな保護者の方にも、ぜひ使っていただきたいサービスです。
答えを押しつけるのではなく、まず話を聞く。一緒に整理する。少し先の道が見えるようにお手伝いする。
それが、CompassMateのすることです。
あのとき涙をこぼした女の子も、声を震わせていたお母さんも、ちゃんと前に進んでいる。
そういう瞬間をもっと増やしたくて、私たちはこのサービスを作りました。
ご興味をお持ちの方は、ぜひ一度お問い合わせください。


